少し寂しいお話しですが、誰かのお役に立てるかもしれないので記録しておきます。
私自身、その時に何も情報がなかったので、妊娠と出産にはこんなことがあるんだという、ほんの一例として読んでもらえたら嬉しいです。
病院を批難する内容ではなく、あくまでも体験談のひとつです。
※これから出産する人に怖がらせてしまわないか不安です。
不安な気持ちでいっぱいになってしまう!という人にはおすすめできません…。
私は3年前(2015年)に娘を出産しました。しかし、13トリソミーという染色体異常の赤ちゃんだったために18日という短い時間しか生きることができませんでした。
私が妊娠した年齢は36歳で、2人目の出産になります。
病院から染色体異常について説明される
その時通院していた病院から染色体異常に対する説明がありました。これは35歳以上の妊婦さんみんなが説明されるものです。私の年齢である36歳のところに丸がつけてあります。
ただ、これはダウン症を出産する確率(1/289)で、13トリソミーを産んだ私は、隣の「それ以外の染色体異常児も含めて生む確率」である1/156に当てはまったことになります。
35歳以上になると高齢出産に入るので、羊水検査についての説明も行われます。医師はこれを推奨することではなく、「こういった赤ちゃんが生まれることもあるので」として説明をしてくれました。
この時の私の気持ちとしては、「何か病気があったりしたら…」という不安は大きかったものの、検査をしてその結果が悪かったら諦めるということは考えられなかったのです。
「染色体異常」と聞いてどんな子をイメージしますか?私は正直、ダウン症の子しか知りませんでした。
トリソミーという言葉すら知らず「病気の子」とひとくくりでしか思いつかないという程度で、知っているようで何も知らなかったんだと後からたくさん気づいたんです。
知りたくても知る機会がなかった、これが正直なところです。
羊水検査も万が一のことがあると知り、ますます気持ちは「検査は受けない」という方向に向かいます。
もしもの場合は妊娠を中断、つまり中絶することになります。「どんな子でも産む」というご夫婦であれば羊水検査は推奨されません。
でも私は「どんな子でも産む」とは胸を張っては言えませんでした。不安半分、きっと大丈夫という気持ちが半分だったと思います。
エコーでは発見できなかった
私の場合もエコーで何か異変を発見していたら、羊水検査を勧められたと思います。私の娘は口が裂けている口唇口蓋裂(こうしんこうがいれつ)だったので、モニター越しに見つけることもできたはずなんです。
でもいつも顔を見ることができませんでした。そもそも何も知らなかったので必死に探ろうともしなかったですね。
そんな感じで医師による念入りなエコー検査は何度か行われたのですが、発見には至りませんでした。
私なりに解釈したのが、娘は生まれたかったのだろう、だから裂けたお口は隠していたんじゃないか?とも思っています。
本当に途中までは普通の赤ちゃんのように育っていました。途中から育つペースが落ちて逆子になっえしまい、その後さらに切迫早産を診断されて1ヶ月少し入院をすることに。
思えばこの入院が娘の命を伸ばしたようにも思えます。もし入院していなかったらすぐに発見できなかったはず。
そう思わせるのが、入院中のいつもの検査で心拍が落ちていることが突然わかり、急遽別の病院へ搬送されたあの日です。娘は小さすぎるためこの病院では対応できず、少し大きな病院へ移りました。
その日のうちに帝王切開で娘は誕生。
帝王切開で赤ちゃんを取り出した直後、母親である私に顔を見せずに連れて行ってしまったので、その辺から大きな胸騒ぎがしていたのをよく覚えています。
出産後に先天性大者異常等検査を受けました
帝王切開で生まれた赤ちゃんに異常が見つかったということで、翌日にはNICUが管理された病院へ娘は転院して行きます。
転院する寸前にようやくわが子の顔を見たということですが、口蓋裂だったり苦しそうな呼吸をしていたりと…。色々なことに直面した瞬間でした。
その翌日には私も後を追うように娘がいる病院へ転院します。この転院は私自身に原因がない状態での転院なので、とても異例なものでした。娘が重体であることから双方の病院が連絡を取り合ってくれて叶った転院だったんです。
先天性代謝異常等検査は私の娘だけではなく、どの赤ちゃんも対象として行われます。息子の母子手帳を見返しても検査結果が記されてあります。
この検査は生後7日後に受けています。医師から呼ばれて「おそらく13トリソミーだと思います」とのことで、この検査を受けましょうと説明がありました。
これを読んでもさっぱりわかりません。
生後4日後から受けられ結果は2週間後と書かれていますが、実際にはもっと早くわかりました。
先天性代謝異常等の検査結果
1週間かかったかどうか?はっきり覚えていませんが、もしかすると3日程度でわかった気もしています。その当時の記憶はうろ覚えで、しかもこの紙を見てもよくわかりませんでした。
「不備」という判定は一体何か?
哺乳量が十分ではない、採血日数が適当ではない、ろ紙血液の状態が悪い、血液の量が少ない等の場合に「不備」と記載されることがあります。この場合改めて採血し、もう一度スクリーニング検査を受けていただく必要があります。先天性代謝異常等検査事業(新生児マス・スクリーニング)-長野県立こども病院
とのこと。
なぜ不備なのか。何しろ説明を受けても頭に入らなくてうろ覚えなのです。
子どもの染色体異常は親の遺伝が原因?
13トリソミーとは、図にも「13」という数字がありますが、13番目の染色体が3本持っているということ。パト―症候群とも呼ばれます。「13トリソミーの子供を支援する親の会」を読むと、よりわかりやすく解説されています。
前置きが長くなりましたが、13トリソミーと改めて発覚した時に受けた病状説明にはこのような書き込みがあります。
はっきりと、遺伝的な原因は否定されています、こう言われたのは覚えています。
稀に原因があることもある…こんな風に書いてあるものを見つけたこともありますが、稀という例を探すことはとても難しいようです。
私に原因があったのか?と悩み、結果を見て遺伝は原因ではないと言われたところでどうしたらいいのか?とも思いましたけど…。
染色体が上手く掛け合わなかった、こう説明をされても頭で理解することはとても難しいものです。
染色体異常の原因は遺伝ではない。これは確かなようですが、じゃあ原因は一体何?と自分に聞いてもわかりません。
そして、いくら年齢が若くても生まれることもあります。年齢が高くなれば生まれる確率は上がります。でも、染色体異常ではない赤ちゃんが生まれる確率も残っています。
とても難しい問題です。
医療が進歩してもまだまだ難しいことがたくさんあるんだなと、思うしかなかったです。
私は後悔していません
私が娘が13トリソミーだとわかった時に調べて出てきた記事です。
新型出生前診断で問われる"命の選別" 「13トリソミーの子」と家族に寄り添う医師、松永正訓さんに聞く
この記事の終わりの方に「無知は偏見を呼ぶ」いう言葉があり、色々考えさせられました。
「案ずるより生むが易し」とよく言いますが、生んでみないとわからない、それが出産なのかも知れません。とても無責任な言い方かも知れませんが…。
何よりも、私はこの出産に後悔はしていません。
でも、この年齢で妊娠した自分に非があったのかもと責めてしまうこと、わずかながらあります。
私にも答えは出せない問題ですが、何も知らないままよりも、色々な命の形があることを知る…これも大切だと思います。
病気を抱えて必死に生まれてくれた娘はずっと大切な存在です。
今は元気な赤ちゃんと同じように遊んでいると信じて、私はこれからも生きていきます。
これから出産される、するかもしれない皆さんのことをぜひ応援させてくださいね!